テケリ・リ
ゲーム概要
クトゥルフ神話をベースにしたトリックテイキングゲームです。おぞましい”異形の神々”のカードを取らないようにゲームを進めていきます。
最大の特徴はキャンセレーションシステムで、数字の大きいカードが必ずしもトリックを取るとは限りません。
このシステムによりプレイヤーを狙い撃ちで落とし込んだり、救済したりするなどのプレイが楽しめます。
ゲーム情報
- プレイ人数:2~6人
- プレイ時間:30分
- 対象年齢:10歳以上
クレジット
- ゲームデザイン:佐藤敏樹
- イラスト:アサダレイナ
- パッケージデザイン:佐藤朗
- 発表年:同人版 2005年/ヤポン版 2006年
他サイトの情報
- Board Game Geek https://boardgamegeek.com/boardgame/20050/tekeli-l…
- ボドゲーマ https://bodoge.hoobby.net/games/tekeli-li
デザイナーズノート
このゲームはヤポンブランドとしてエッセンでも発売した思入れ深いゲームです。
きっかけ(2003年3月初旬)
友人と「ゴーストハンターボードゲーム」を遊び、このゲームからクトゥルフとトリックティキングゲームの融合を思いつきました。
そして「テケリ・リ」のプロトタイプ作成を開始しました。
このときに目指したゲームコンセプトは以下のとおりです。
① キャンセルの要素を入れる
グループSNEの安田均氏が「大勢集まったらキャンセレーションブラックレディが面白い」と何かの本の中でおっしゃており10人くらい集まったときにブラックレディキャンセレーションを遊んでみました。
「頼む、誰か助けて~」とか「キャンセルしてくれてありがとう~」などとゲーム中の会話が盛り上がり、非常に面白かったです。
しかし、このゲームはトランプを2箱使うゲームなので10人近くいないとできませんし、小さい数でキャンセルを起こしてもあまり面白くありません。
ということで、プレイ人数が少なくてもキャンセルが楽しめるゲームを作ろうと考えました。
② スコアリングシステムを簡単にする(鉛筆を使わない)
トリックティキングゲームは好きなのですが、得点を計算するために鉛筆とメモが必要なのが面倒で嫌でした。
そこで100点ごとにマーカーを獲得するメカニズムを採用しました。
「端数切り捨て」は「時間の経過により狂気が冷める」と理由をこじつけました。
③ 派手にする
「銀のタロット」の「ひいてはいけないカード」が好きでした。
このカードを引いた時は、とにかくマイナス点の要素が多く、混沌とした中でゲームが進みます。
ただ、問題なのは点数計算が面倒くさいことでした。
点数計算を簡潔にし、さらに混沌としたゲームとするため、異形のモノたちを8体も登場させることにしました。
テストプレイ(2003年4~11月)
この頃よく遊んでいた鷹村ナクトさんでの自宅ゲーム会や友人とのゲーム会でテストプレイを重ねました。
このテストプレイでカード構成や、キャンセル時の押し出しのルール、イベントカードの決定などを行いました。
おもちゃ箱のメンバに感謝です。
お蔵入り(2003年~2004年)
このゲームを何らかの形で公開したかったのですが、クトゥルフをテーマにしているため、イラストがないと面白さが半減します。
また、クトゥルフ以外のテーマでこのゲームを作り直すことは私の中では考えられませんでした。
そのため、「テケリ・リ」は1年以上お蔵入りとなってしまいました。
再始動(2005年5月初旬)
ゲームマーケットで販売した「エルスミーア」などのイラストレイターさんと知り合いになり、アサダレイナさんにイラストを描いてもらえることとなりました。
最初はA4から16枚のカードを切り出し、インクジェットプリンタで印刷することを考えていましたが、せっかくきれいなイラストを描いていただけることになったので、絵を大きくし、オフセット印刷を行うことにしました。
イラストレイターさんに気持ちよく仕事していただくために、「自由にやってください」とカード全体のデザイン、裏面のデザインもトータルでお願いしました。
(裏面はショゴスの生みの親である「古のもの」を意識して星がかたどられています。
アサダさんのアイデアです。
ちなみにテケリ・リはショゴスの鳴き声です)。
最終調整(2005年5月下旬)
イラストを発注した後だったのですが、もう一度イベントカードの内容を見直し、効果を変更しました。
以前は「日記帳」というカードがあったのですが、「ネクロノミコン(魔道書)」のカードにしました。
理由はイラストの変更がほとんどいらないからです。
このころは「何か良いイベントはないかなぁ」とずっと考えていました。
印刷所探し(2005年6月初旬)
色々な印刷所をwebで探しました。
『オーバルトリック』などのゲームを販売している「グラパックジャパン」さんの本業が印刷屋さんであることを思い出し、見積もりをもらいました。
が、小ロットでは全然値段が折り合いませんでした。
結局は遊兎理さんに教えていただいたポプルスさんに決めました。
ポプルスさんからの見積もり(2005年6月中旬)
ポプルスさんから見積もりを取りました。
お気楽カードセット、54×86mmのテレカサイズ2パターン、角丸ヌキ加工つきです。
表面加工は特にしていません。
角丸加工代が印刷代の約3分の1を占めます。
かなり、迷いましたが「カードの角が痛いからあのゲームは遊ばない」と言われるのがイヤだったので、角丸加工はしてもらいました。
100部単位での注文というのが、かなりの決断力を要求されます。
印刷所との打ち合わせ(2005年6月25日)
立川にてポプルスさんと打ち合わせです。
カードの厚さや質などを確かめたかったので、直接営業所の方へ行きました。
細かい修正点を指摘してもらったり、リンク割引(ホームページにリンクを張るとちょっと安くしてもらえる)の話などを伺うことができました。
入稿(2005年7月5日)
アサダさんから原稿があがり、FTPで入稿しました。
色校(2005年7月15日)
色校がポプルスさんからあがり、その結果をポプルスさんに連絡しました。
カードの薄さが気になったので相談したところ、追加料金を払って紙変更をしてもらうことにしました。
アート160K→アート240Kへ変更しました。
印刷完了(2005年7月24日)
印刷が完了し、すべてのカードが送られてきました。
袋詰めはすべて手作業です。
家族総出で袋詰め作業を行いました。
コミケ当日(2005年8月12日)
テーマがクトゥルフということもあり、多くの人に興味をもっていただけたようで、「このゲームはどういうルールなんですか?」と何度も声をかけていただきました。
お客様との会話はとても楽しいものでした。
コミケでご購入いただいた皆様ありがとうございました。
この場を借りてお礼申し上げます。
ヤポンブランドのお誘い(2006年4月)
たけるべさんから『テケリ・リ』を海外に持って行きませんか?
と誘われ、発足したばかりのヤポンブランドに参加することにしました。
萬印堂さんとのおつきあい(2006年5月)
同人版の『テケリ・リ』はポプルスで印刷したものでしたが、商用版を作るにあたり、箱に入れてシュリンクをかけないといけません。
ポプルスに見積もってもらったところ、200部で約37万5000円という値段を提示されました。
とても高かったので、他の印刷所を探していたところ、ヤポンブランドのみなさんから萬印堂さんを紹介していただき、萬印堂さんに印刷をお願いすることにしました。
萬印堂さんのいいところは、ゲーマーならではの心配りです。
カードの厚さや、透け具合、カードのこしなど細かいところまで目が行き届いている点です。
こうした気配りの結果が現在の業界リーダーたるゆえんだと思います。
Sato Bros.の誕生(2006年8月)
ボックスアートはカードイラストを描いていただいたアサダレイナさんに再びお願いし、装丁は友人の佐藤朗さんにお願いしました。
『テケリ・リ』の海外挑戦は個人的な活動だったので、「ボードゲームのおもちゃ箱」というサークル名は使わず、佐藤朗さんと佐藤敏樹のコンビということで、「Sato Bros.」というサークル名にしました。
エッセン(2006年10月)
たくさんの方々に支えられ、『テケリ・リ』をエッセンに持って行くことが出来ました。
今後も機会があれば是非海外に挑戦していきたいと思います。