デザイナーズノート
今回の開発も多くの方々のお力添えで作り切ることができました。この場を借りてお礼を申し上げます。
2022年11月に時を戻しましょう。。。
2022年11月 開発のとっかかり
Twitterで三角形のタイルを使ったゲームを見かけました。特徴的なタイルを使ったゲームを作ったら面白いかも。と思いつき、早速モックを作ってみました。1つの点に三角形が6個集まってタイル配置が出来たら、街の完成ということで点が入るみたいなゲームを作り、一人テストプレイしてみました
が、街ができるまでに最低6手番が必要で、ゲームのテンポがとても遅いものでした。テンポをよくするためにはどうしたら良いのかと考えたときに、六角形のタイルなら良いのではないかと思いつき、六角形のタイルを使ったゲームの開発を進めました。
2022年12月 テーマの選定
六角形タイルに海と陸を描いたら、それを組み合わせるだけでゲームとして面白くなりました。最初は『ネオアトラス』のように地図を作っていき、新種の産物などを見つけるゲームにしようと思ったのですが、大陸を作るとなると自ずと陸地が増えて、見た目が悪い。海の部分を増やしたら島が多くできたので、海に浮かぶ島をテーマにしようと決め『ラピタ人の航海』という仮称をつけました。ラピタ人というのは古代ポリネシア地方に住んでいた民族で、新しい島を求めて航海を繰り返した種族です。ディズニー映画の『モアナと伝説の海』に近い世界観です。
2023年1月 システムの根幹
ちょうど良いバランスを求めて、何度もタイルを作り直しました。陸地が多いと島が大きくなって完成しない。海が多いとこじんまりとした島だらけになってしまう。試行錯誤を繰り返して、タイルの構成を決め、それと同時に資源を集めて、建築して、エリアマジョリティを取るという根幹のゲームシステムを考えました。
2023年2月 オープンテストプレイの開始
資源の違いを色でしか表さないことから、カラーユニバーサルデザインを考慮して、資源は赤青白の3色と決めていました。『ラピタ人の航海』というテーマに沿って考えたとき、青は魚、赤は土器、白はタロイモという感じに考えてましたが、いまいちピンときていませんでした。また、出番の最初に資源が手に入れられるバージョンアップのことを工場化と呼んでいたのですが、それもピンときていませんでした。
テーマはともかく、この頃から身内以外の方とのテストプレイを増やしていきました。
とくにフランスでパリからカンヌ行きの列車の中で高見さんやCocktail Games のメンバーとのテストプレイしたのは印象的でした。つたない英語でのインストでも楽しんでもらえたのが嬉しかったです。高見さんにも気に入ってもらえ、高見さんにはこのゲームのアートワークをお願いすることにしました。
2023年5月 テーマの変更
長谷川登鯉さんと「ならんで!鳥獣戯画」の打ち合わせをした際に、「いま、こんなの作ってるんですよ」とラピタ人の航海の相談を持ち掛けたら、「空島ってどうですか?ワクワクしませんか?」とコメントをもらいました。
すぐさま高見さんに連絡したところ、「空島の方が楽しい」ということになり、空島での交易をテーマにしました。
空島をテーマにしたことで、しっくりこなかった工場を港に変え、魚は飛行石に、土器はワインに、タロイモは布に変更しました。
テーマを変えたことですべてがまとまりました。
2023年6月 ディベロップメント
テーマもシステムもほとんどできていたのですが、もう一押し欲しいと思っていました。
具体的には商館と港以外に、もう一つ建物が欲しいと考え続けていました。
また、エリアマジョリティなので後手番が有利というのが気にかかっていました。
その両方を解決する方法として、島に一つしか建設できない「塔」を思いつきました。
「塔」は早い者勝ち(先手有利)なので、エリアマジョリティの後手番有利の対策になりますし、見た目も特徴的で良いアイディアだったと思います。
2023年11月 校正・校閲
今回も安心のマコトニシダさんにお願いしました。
2023年12月 最後のあがき
テストプレイをしているとき、資源を6個持ち越して一気に3軒の建物を建てて勝つという光景を何度か見ました。
建物を一気に建てることは気持ちよさにもつながるので、このルールにメスを入れるかかなり迷いました。いつもテストプレイに付き合ってもらっている長男とも相談し、最終的には持ち越せる資源を6個から3個に減らしました。
何を捨てるかという悩ましさが増えるので、最後の最後でしたが、良い変更だったと思います。
2024年1月 入稿
印刷は台湾の印刷所にお願いしました。今回もなんとか春節前に入稿することができました。
2024年2月 説明書の英語訳
今回も英語訳はサイゴウさんにお願いしました。
2024年3月 印刷完了
ゲムマの1か月前に商品ができたので、動画撮影や試遊会などに余裕をもって対応することができました。
動画はショート動画(高島さん、せとさん)、プロモーションビデオ(ひみつりさん)、遊び風景の動画(ゆぶねさん)、プレイ動画(ボドゲ家族さん)とたくさんの種類を作ってもらいました。
このゲームを作るために、1年半の年月を要しました。そして数えきれない方々のご支援をいただき、完成することができました。
このゲームに関わっていただきた、すべてのみなさまにこの場を借りてお礼を申し上げます。
これからも楽しいゲームを作り続けていきます。