まめとり

ゲーム概要

袋の中に入っている豆を、何個とれるか宣言し、その宣言どおりの数をつかむことができれば
点数が入ります。3ラウンド遊んで、もっとも点数が高いプレイヤーが勝ちです。

ゲーム情報

  • プレイ人数:2~5人
  • プレイ時間:10分
  • 対象年齢:6歳以上

紹介マンガ

紹介動画

ルール(PDFファイル)

まめとり 日本語ルール

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • アートワーク:井上磨
  • 発表:2022年4月23日

他サイトの情報

ゲームマーケット:https://gamemarket.jp/game/179340
ボドゲ―マ:https://bodoge.hoobby.net/games/get-beans

参考ゲーム

  • ドラゴンの卵
  • バウザック

デザイナーズノート

『まめとり』ほど出すか出さないか悩んだゲームはありませんでした。
その葛藤をまとめてみました。

アイディアの原点(2021年6月)

中華街でご飯を食べた帰り、リゴレさんに家族で遊びに行きました。
子どもたちとハバの『ドラゴンの卵』を遊ばせてもらいました。
氷の塔からこぼれ落ちる宝石を予想するゲームです。
僕は端から見ていたのですか、もっと単純に盛り上がれるんじゃないかと妄想を巡らせ、袋から豆を出して宣言どおりに出せたら点数が入るというゲームを思いつきました。

ツォッホの『バウザック』で本物の豆を使っているのを見たときから、いつかは本物の豆を使ったゲームを作りたいと思っていました。
そして豆のゲームを作るからにはHOY GAMESさんのマメィに似たキャラでやりたいなと、その時からおぼろげながらに思っていました。

家に帰り、すぐさまテスト用のモックアップを作り、子どもたちと遊びました。案外宣言どおりの数を取り出すのは難しく、これはゲームになると確信しました。
しかし、悩んだのはそのゲーム性。単純すぎるため、このゲームでお金をいただいてもいいものか。
でも、こんなに盛り上がるゲームなんだから世の中に出したい。そんな葛藤に悩んでいました。

得点のコントロール(2021年7月)

いろいろな場面で大人も交えてテストプレイをしたのですが、やはり宣言どおりに取るのは難しく、点数がなかなか入らないことがわかりました。
最初は一番大きい数値を宣言して当てた人だけが点を獲得できるようにしていたのですが、当てたのに点が入らないとプレイヤーのテンションは下がるものです。
そこでトップ賞というのを作り、宣言どおりに当てた人は全員得点が入る。最も大きな数値を宣言して当てた人はボーナスを獲得できるようにしました。
また、よく観察すると、1個違いで外すケースがよくありました。この場合はニアピン賞として1点を獲得できるようにしました。
こうしてプレイヤーのテンションを下げないように点数をコントロールすることにしました。

白坂さんのアドバイス(2021年8月)

ジェリカフェの白坂さんがTwitter上で気まぐれ企画「制作中ゲームのレビュー受け付けます」を実施されていたので、藁にもすがる思いで応募しました。
このゲームを世の中に出すべきかどうかを迷っていました。
白坂さんからは「大人でも盛り上がりそうなゲームですね」と感想をいただき、さらに「ゲームのタイトルをもっとキャッチーにした方がいい」とか「大きさの違う豆を入れて、それは得点を高くしたら面白くなるかも」などのアドバイスまでいただきました。
白坂さんのアドバイスを受けて、タイトルを「まめとり」に変更し、黒豆(1個2点分)の存在も追加しました。

仲間のあとおし(2021年12月)

ゲムマ春に出そうか出さまいか悩んだまま、2021年の年末を迎えました。
年末休みのときにボドゲかぞくさんたちとボードゲームをして遊びました。
そして、その日の〆として『まめとり』を遊んでもらいました。そしたら、その日一番の大盛り上がり。
家に帰ってからすぐさま井上磨さんに連絡を取り、アートワークのお願いをしました。こうしてゲムマ春に向けて動き出しました。

値段の設定(2022年1月)

販売価格は1000円とはじめから決めていました。
自分がこのゲームを買うとしたらいくらなら買うかという基準でいつも値段を設定しています。
1000円ということで箱なしのチャック袋。カードは自宅プリンターの印刷で裁断は自分。丁合も自分。
カード枚数が22枚と少なめだったので決断できた仕様です。

久々の家庭内手工業(2022年3月)

イラストが完成し、自宅プリンターで夜な夜な印刷しました。
裁断は公共施設の印刷室に設置されている自動裁断機を使いました。
ここは16年前にも使ったことのある場所です。
あまりにも久々だったので、裁断機のクセなどをいろいろ忘れてしまい、かなりの数の裁断ミスをしてしまいました。
後日不足分を再印刷してようやく完成しました。

ゲムマ本番(2022年4月)

ゲムマ春で無事販売することができました。
それほど多くの数が売れたわけではないのですが、想像通りの数だったと思います。
嬉しかったのは「こういうので良いんだよ」という評価をいただけたことです。
出して良いものか悩みに悩んだゲームでしたが、みなさまに遊んでもらえる機会ができて本当によかったです。

スペシャルサンクス

リゴレの店長、ジェリカフェの白坂さん、ボドゲかぞくさん、きりんなべさん、井上磨さん、える、ここる、はる。

ガニメデ戦記Zero

ゲーム概要

木星で発見された新資源をめぐり、衛星ガニメデでの戦闘は熾烈を極めた。
208X年メックを使った戦闘が本格化し、様々な装備のメックが登場した。
このときはガニメデでの戦闘があれ程までに長引くとは誰もが想定していなかった……

このゲームは透明カードを使って3体のメックに装備を施し、装備したメックを使って戦闘を行うカードゲームです。プレイヤーは小隊の隊長となり、敵部隊を殲滅することを目的とします。

ゲーム情報

  • プレイ人数:2人
  • プレイ時間:20分
  • 対象年齢:10歳以上

カード説明

このゲームは透明カードを複数枚重ねて遊びます。
重ねたカードは1つのスリーブに入れ、1枚のカードのように扱います。

紹介動画

ルール(PDFファイル)

ガニメデ戦記Zero 日本語ルール

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • アートワーク:高見誠
  • ルール校正、校閲:西田誠
  • スペシャルサンクス:佐藤英瑠
  • 発表:2022年4月23日

他サイトの情報

ゲームマーケット:https://gamemarket.jp/game/179246
ボドゲーマ:https://bodoge.hoobby.net/games/war-chronicles-gan…
Board Game Geek:https://boardgamegeek.com/boardgame/359822/

参考ゲーム

デザイナーズノート

今回もたくさんの出来事がありましたが、トラブルはなく楽しくゲーム製作ができました。
自分たちの趣味全開のゲームですが、どんなふうに作ってきたかを紐解いてみたいと思います。

ガニメデ戦記Zeroの着想

2019年の春のこと、リゴレでOKAZU brandの林さんと『ミスティックヴェール』を遊んだときに、透明カードを使ったゲームを作りたいという衝動にかられました。
自分だったら何を作るかを考えたときに、開発中だったガニメデ戦記をすぐに思い浮かべました。
ガニメデ戦記は210X年の話、時代背景をそれよりも前にして、メックの種類は少ないけど装備をいろいろ交換して戦うゲームにしよう。
ゲームのコンセプトはすぐに固まりました。

クリアカードの試作

とにかく透明カードを作りたいという気持ちが先行してまずはテストキットを作りました。
作ろうと思い立ったのは、印刷所の印刷メニューにクリアファイルというのがあったからです。
「そっか、クリアファイルに印刷できるのか」と気軽に考え、手元にあるクリアファイルにインクジェットプリンタで印刷してみました。
が、失敗。
インクがはじかれ、指でこすったら跡形もなく消えました。
他になにかないかと考えて浮かんだのがOHPシートでした。
今から30年ほど前の、プロジェクターが普及してない頃に良く使っていたものです。今でも売っているんですね。
インクジェットプリンタ用のOHPシートを買ってきて印字したところ、インクは定着したけど発色が悪い。
どうしたらいいんだろうと考えあぐねてるときに、クリアファイルを見てみると、裏が白く塗られてる。
そうだ、裏を修正液で塗ればいいんだと思いつき、トライしてみたら、見事に成功。こうしてテストプレイが出来るようになりました。

ゲームシステムのデザイン初期

僕の中では武器カードを重ねるのがおもしろいのであって、戦闘フェイズは答え合わせのような位置付けでした。

なので、戦闘フェイズはなるべくシンプルにしようと考えました。
カードスペースを考えて、パラメータは4つにしようと最初から考えていました。
そして、あちらこちらのパラメータを見ずに解決できる方法を模索しました。
しかし、なかなか良い方法を見出だすことができず、半年ほどが過ぎ去りました。

ブレイクスルーのきっかけは『ウォーチェスト』でした。
バックからコインを引いて、そのコインが行動できるというシステムです。

『ウォーチェスト』に触れたとき、30年ほど前に遊んだ銀英伝のウォーゲームにもチットを引いて行動順を決めるシステムがあったなぁと思い出しました。

このシステムならばゲーム中に行動回数というパラメータを意識しなくても済みます。
これなら行けると確信を持ち、開発は前に進み始めました。

テストプレイ中、何度か「チットで攻撃順を引くのはランダム性が高すぎるから、行動回数ではなく行動順にしたらどうか」というアドバイスをいただきました。

確かにそれでも良いのですが、僕が再現したかったのはシャアザクは他のザクより3倍速く動けるという設定でした。

そのため、攻撃回数を多くするという設計にしました。
ランダム性はあるかもしれませんが、自分がやりたかった世界観は再現できたつもりです。

ゲームシステムのデザイン中期(内部テストプレイ)

最初は『ウォーチェスト』に着想を得たせいか、ヘックスマップで移動しながら敵と戦うというゲームにしていました。

しかし、長男とテストプレイをしているときに、相手が逃げ回ってしまいゲームが長引くことがありました。

本当にマップが必要なのかを考え直したときに、『タンクハンター』のように叩きあうだけのゲームでよいのではないかと考えなおしました。

そのあと、前列後列の概念を入れたテストプレイも繰り返しましたが、この戦闘の説明に3分以上かけるのであれば、単純に攻撃するだけのゲームではよいではないかと開き直りました。

製造コストの削減

移動用のボードをなくすことができたので、コスト面ではだいぶ安くなりました。

もっとコストを減らすことはできないかと考えたときに、メックの装備を選ぶときに使っていたボードも他の手段で代替できないかと考えました。

装備選択時のボードはいらないかとも思ったのですが、透明カードを使うので、テーブルによっては見えづらくなってしまう。
それをどう解消しようかを考え続けました。

そしてある時、袋の上に並べればいいじゃないかとひらめきました。
そこで、ちょうどいい袋の大きさにするため、袋のサイズを特注で作ってもらうことにしました。

袋はもともと必要なコンポーネントだったのですが、その袋に2つの役割を持たせることでボードを排除することができ、箱のサ イズ縮小も実現できたので、大幅なコスト削減ができました。

ゲームシステムのデザイン終盤(継承)

リゴレの店長と遊んだときに「負け始めると勝てないですねぇ」という言葉をいただきました。

基本的にはシミュレーションゲームなのだから、それで仕方ないと考えていましたが、やはり気になっていました。

いろいろと考えているときに「破壊されたカードは裏返しにするのだから、それを使って何かできないだろうか」と考えました。
イメージ的にはテレビゲームのボンバーマンで負けたキャラクターがゲームの外から爆弾を投げ込んで邪魔をする感じです。

考えに考えを重ねた結果、カード裏に上昇するパラメータを書いておいたら、逆転の要素になるのではないかとひらめきました。
増加させるのはHPと命中率ということにしました。

HPは体力という意味だけでなく、装甲の厚さや、回避能力の高さも表しているので、仲間が死んで覚醒して回避能力が向上する。
命中率は神懸かった精度で戦闘ができるようになるというZガンダムなどで仲間が死んで残った者に残留思念が取り憑く感じを再現しました。

Twitterでこの現象について名前を募集したところ、前田部長の「魂の継承」が一番しっくり来たので、ルールとして採用しました。

ゲームシステムのデザイン終盤(校正)

227さんでテストプレイをしているときに店長から「タンクみたいな役割のメックが活躍できないですかね?」という言葉をいただきました。

タンクとはHPの高いキャラクターのことで、タンクが相手の攻撃を引き受け、それ以外のキャラクターが相手を攻撃するという戦略をとるときに使います。

そのときのルールでは先に能力の高いメックを攻撃するのが常套手段になってしまうので、タンクが活躍することができませんでした。

仕方ないなと思いつつ「タンク」という言葉を引きづったまま、説明書の作成を進め、説明書の校正段階までもっていきました。
今回のガニメデ戦記Zeroの校正・校閲はぼーずさんにお願いしました。

ぼーずさんがかなり優秀な方で、「ここはこうした方がいいですよ」とか、「ここはこの表現の方が伝わりやすいです」といったアドバイスをガンガンしてくれました。

その中に「防御側は攻撃を受けるメックを選べないルールですよね」というコメントをもらいました。

ぼーずさんはルールの誤解を防ぐための確認だったと思うのですが、僕にとっては最高の提案でした。

今まで、『タンクハンター』などのゲームから攻撃対象は攻撃側が決めるという固定観念が自分の中にありました。

ですが、攻撃対象を防御側が決めれば、タンクのような役割のメックを作ることができるのです。この発想は目から鱗でした。

アートワークへのこだわり

カードのデザインについては、何度もアートワーク担当のたかさんと議論を繰り返しました。

たかさんとは年齢が近く、見て育ったロボットアニメも似ているので、「マクロスのファランクスみたいなやつ」とか、「近接武器はパイルバンカーにしましょう」など、意識あわせがやすかったです。

ああだこうだと話し合うのが楽しかったです。

カード化する前にイラスト段階で見せてもらったところ、想定より数がひとつ多い。

「たかさん、ひとつ多いですが。。。」と伝えると、「あ、ほんとだ。楽しくて描いちゃいました」と。

急遽パラメータを調整し、新たな武器を追加しました。

謝辞

今回も多くの方にお世話になりました。

アートワーク担当のたかさん、テストプレイに付き合ってくれた息子の英瑠、いろんな方とテストプレイしてくれたアニマルウィップのレグルスさん、持ちこんだゲームをいつも快く遊んでくれた227の店長、いつも励ましてくれたリゴレの店長、校正を担当してナイスアイディアまでくれたぼーずさん、緑と赤の見にくさを教えてくれたましうさん、透明カードについての情報をいろいろと教えてくれたハセカワさん、魂の継承の名前を考えてくれた前田部長、英語翻訳のサイゴウさん、印刷所のNikkiさん、動画を作ってくれたひみつりさん。

そしてこれから遊んでくださるたくさんの皆さん!
皆さんに支えられてゲームはできています。この場を借りてお礼を申し上げます。

みんなでいただきマウス

ストーリー

プレイヤーはネズミの家族となり、目の前に並んだごちそうを取り合います。
食べ物をとりすぎてしまうと、他のネズミたちにお裾分けをしなければなりません。
食べ物を一番多く獲得できるのはどのネズミでしょうか。

ゲーム情報

  • プレイ人数:2~5人
  • プレイ時間:20分
  • 対象年齢:8歳以上
  • ゲムマ価格:1,500円(税込)
  • ショップ価格:1,800円(税抜)

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • アートワーク:たかみまこと
  • 校正:矢沢賢太郎さん、かゆかゆさん
  • スぺシャルサンクス:リゴレの店長、ナスケンさん、メイジーさん、太陽皇子さん、Regulus Channelさん
  • 発表年:2021年4月

動画(まさてるさん制作)

ルール紹介マンガ(ゆるゆるボドゲバカさん制作)

ルール

みんなでいただきマウス 日本語ルール

試遊環境(ユドナリウム)

ユドナリウムを使って『みんなでいただきマウス』の試遊をオンラインですることができます。

【遊び方】
  1. みんなでいただきマウスのzipをPC等にダウンロードする。
  2. ユドナリウム(https://udonarium.app/ )にアクセスする。
  3. ユドナリウム上のメニューから「ZIP読込」を選択し、ダウンロードした他サイトの情報

    参考ゲーム

    • グラシアス
    • Xing

    デザイナーズノート

    このゲームを作ろうとしたきっかけは「ありがとうと言うゲームを作ろう」と思ったことでした。

    きっかけ

    2005年にラベンスバーガーから発売された『グラシアス』というゲームがまさに「ありがとう」と言うゲームでした。
    『グラシアス』ではいらないカードを他の人に押し付けるのですが、もらった人はどんなカードをもらったとしても「グラシアス(ありがとうのスペイン語)」と言わなければならないゲームです。
    発売からかなり時間が経ってますし、テーマもあまり好きではなかったので、2016年7月にラベンスに「リメイクをさせてほしいです」ってメールを送りました。
    すると、「ゲームの審査は他の部署に任せているから、リメイクの相談もそっちにしてほしい」と回答をもらいました。
    審査を受けるためにはお金を払う必要があるのですが、その分、フィードバックもきちんとしてくれるということでした。
    ただ、時間とお金がかかることが分かったので、違うテーマとルールを考えようと思いました。

    テーマ選定

    『グラシアス』というゲームは、ネズミみたいだけどよくわからない動物が出てくる、テーマがよくわからないゲームでした。
    「もらってうれしいものと言えば?」とアイディアを出しているうちに思い付いたのは「お金」でした。
    お金をもらえばうれしいから「ありがとう」というのは当然です。
    では、「お金をもらったり、渡したりするのは誰だ?」と考えたときに出てきたのが政治家でした。
    政治家が政治献金をもらう感じです。
    そこから、ドル、ユーロ、円、ポンドなどの各国の通貨ごとにお金を集め、最もお金を集めたプレイヤーが勝ちというゲームにしました。
    ただ、それだけだとつまらないので通貨ごとに2位になったら各国から助成金が入るルールを作り、1位ではなく2位狙いにするゲーム性を付け加えました。
    テーマが異なればルールも当然変わってきます。
    だんだん『グラシアス』からは遠ざかっていきました。

    足りないピースを探して

    ルールの根幹はできて、何度かテストプレイも行ったのですが、ゲームとしてはもうひとひねりが欲しいところでした。
    そこで政治につきもののお色気要素を付け加えることにしました。
    政治からお色気のアイディアが出てくるところは「フンタ」によるところが大きかったと思います。
    「フンタ」で何度も愛人宅で激写されましたので……。
    お金にハートマークを付け、ハートマークを一番多く集めていたプレイヤーは、いくら2位になっても助成金を受け取れないようにしました。
    ハートを付けただけでお色気を連想できるのは、ボードゲーマーの発想の豊かさに起因するものと思われます。

    お色気要素の拡大

    ハートマークを一番多く持っていたプレイヤーのペナルティをもっと大きくしたいと思い、ハートマークを一番多く持っていたプレイヤーはサイコロを振って、
    その出目によってはゲームから脱落するというルールを付け加えました。
    ダイスは2種類で、1つには年齢、1つには職業を書きました。
    年齢には「50代」「40代」…「10代」などを書き、職業には「秘書」「銀座のママ」「芸能人」「既婚者」など書きました。
    つまり、ハートマークのお相手を決めるダイスです。
    ダイスを2個振って「30代」「秘書」などと決めるわけです。
    そして、「10代(未成年)」を振ったらゲームから脱落、「既婚者(不倫)」を振ったらゲームから脱落というルールを付け加えました。
    このルールで何回かテストしましたが、あまり公に出せる内容ではありませんでした……。

    そしてお蔵入り

    この政治献金ゲームの最大の欠点は、自分で取るカードをコントロールできないところでした。
    カードの半分は自分で選んで裏向きにして、スイス銀行に隠していくのですが、半分は他プレイヤーからもらうので、自分の思うようにならずストレスがたまるゲームとなっていました。
    ここを解決するためには、もともとのゲームの根幹であった、他のプレイヤーからいらないカードを押し付けられても「ありがとう」を言うルールの置き換えが必要であり、
    そこを解決できないまま、年月が過ぎていきました。

    再始動

    お蔵入りしたゲームというのは常に頭の片隅に残っており、きっかけがあるとすぐに頭のメイン領域にやってきます。
    今回のきっかけは2020年11月22日のTweetでした。
    「来年のゲムマはしゃがもうと思ってたのですが、来年はさとーふぁみりあ設立10周年であることに気づき、何が何でも出店しようと心に決めた」
    そしたらSNEの安田社長が応援してくださいました。
    とてもうれしいことでした。
    と同時に「さぁもう後には引けない」と奮い立たされ、脳をフル回転させました。
    娘の習い事の終わりを待つ数時間の間、寒い公園で何十回、何百回と自問自答を繰り返しました。
    そして出てきたアイディアが、お金ではなく食べ物を取り合うテーマにすること。
    カードは人からもらうのではなく自分で取ること。
    イメージはネズミの家族が食べ物を取り合う感じにすること。
    ということでした。

    テストプレイ

    家で子どもたちとテストプレイをしたり、ボドゲカフェに赴いてテストプレイをお願いしたり、テストキットを送って遠くの友人にお願いしたりと、12月中はテストプレイに時間を費やしました。
    コロナ禍でテストプレイしづらい時期ではありますが、様々な手段でテストプレイする機会を作りました。
    ユドナリウムなどを使ってオンラインテストプレイすることも考えましたが、今回はオンラインテストプレイはしませんでした。
    なぜなら、今回のゲームでは「わちゃわちゃ感」を大事にしたかったからです。
    オンラインではその「わちゃわちゃ感」を感じ取ることができないだろうと思いました。
    今回のゲームはバッティングゲームなのですが、欲しいカードを一斉に指差すという、あえてわちゃわちゃする感じにデザインしました。
    指差す腕が交差したり、指差すタイミングが遅いプレイヤーが現れる可能性もあるので、公正を期すためには投票用のチップなどを用意すべきなのでしょうが、
    今回はネズミの家族がテーマということもあり、わざとわちゃわちゃする感じを出そうと思いました。
    ディベロップ期間で一番調整したのが、ゲーム最後のポイント配分でした。
    最初は「1位の人は全員に1枚ずつ配る」というルールだったのですが、1位を取ったら絶対に負けてしまいます。
    1位をとっても突き抜ければ勝てるくらいのバランスにしたかったので、いろいろと悩みました。
    そして思いついたのが「両隣の人にランダムに引いてもらう」というルールでした。
    運要素が強くなりましたが、場の盛り上がりと、ご近所さんにお裾分けをするというテーマとの一致を優先して、このルールを採用しました。

    校正

    今回も説明書の校正はHoy Gamesの矢沢さんにお願いしました。
    矢沢さんは単なる誤字脱字のチェックだけでなく、わかりやすさ、特に図やレイアウトなどを考慮してくださいます。
    校正よりも校閲に近い作業です。
    今回の校正で一番驚いたのは、「各プレイヤーが準備できたことを示すために「チュー」と掛け声をかけましょう」と提案いただいたことでした。
    たった一言ですが、このゲームの世界観を的確に表しています。
    矢沢さんには本当に感謝しています。
    そして、今回のゲームで悩んでいたのはタイトルでした。
    当初は『チューチューキャッチ』とか『ねずみの晩御飯』という開発名で呼んでいたのですが、なかなかしっくりこないので、twitterで募集することにしました。
    すると太陽皇子さんから「『いただきマウス』はどうでしょう」と提案をいただきました。
    これいいなぁと思ったのですが、検索性がちょっと低いのが問題でした。
    そこでRegulus Channelさんからいただいた『みんなで食べマウス』からヒントをもらい、
    最終的に『みんなでいただきマウス』というタイトルに決めました。

    最後に

    今回もたくさんの人に支えられてこのゲームができました。
    このゲームの背中を押してくださった安田社長、何度も遊んでもらった227のスタッフの皆さん、いつも励ましてくれるリゴレの店長、遠隔でテストプレイをしてくださったナスケンさん、英語のタイトルを考えてくださったメイジーさん、タイトルを考えてくださった太陽皇子さん、Regulus Channelさん、印刷所のNikkiさん、校正の矢沢さん、素敵なアートワークを描いてくれたタカさん、そしてテストプレイに付き合ってくれた子どもたち。
    この場を借りてお礼を申し上げます。