コリントコンストラクション

ゲーム概要

各プレイヤーがパーツを買い集め、自分が有利になるようにパチンコ台を作り出していき、最も高い勝利点を獲得したプレイヤーが勝ちというゲームです。
プレイヤーが購入するパーツは「釘(ピン)」「お邪魔板(プレート)」「ポイント(パチンコ台の下部に配置します)」「シュート権(ビー玉を弾く権利)」の大きく4種類です。
自分のポイントが有利になるよう、パーツを配置したり、ビー玉をコントロールしていきます。
パーツ配置⇒ビー玉弾き⇒得点計算という流れを2回(2ラウンド制)行います。
自分がビー玉を弾いても、他人のポイントに入ることも多く、ビー玉の予想できない動きに一喜一憂します。

ゲーム情報

プレイ人数:2~4人
プレイ時間:30分~45分
対象年齢:6歳以上

紹介動画

クレジット

ゲームデザイン:佐藤敏樹
アートワーク:長谷川登鯉
発表:2011年11月(ゲームマーケット2011秋にて試遊)
発表:2019年11月(ゲームマーケット2019秋にて販売)

他サイトの情報

Board Game Geek https://boardgamegeek.com/boardgame/288875/corinth…
ボドゲーマ https://bodoge.hoobby.net/games/corinth-constructi…

デザイナーズノート

クラフト体験工房

10年ほど前のある日、パチンコをモチーフにしたボードゲームを楽しんでいる自分を夢で見ました。
朝起きた時に「これは絶対に面白い!」と思ってノートに書き留めたのがこのゲームの始まりです。

それから数年した2011年の夏、北海道旅行をした際に、道の駅おんねゆ温泉でクラフト体験工房というのを見つけました。
https://onneyu-aq.com/facility3/

作りたいという欲求にかられ、居ても立ってもいられなくなった私は、妻子たちに近くの北きつね牧場で遊んでもらい、その間に一気にゲームボードを作り上げることにしました。

その場で木材を選び、図面を引き、インストラクターの方にかなり助けていただきながら、糸ノコとドリルを使ってパーツを作り上げました。

パーツとパーツを接着するのは時間がかかるため、すべてのパーツをスーツケースに詰め、東京に戻ってから組み立てを行いました。

2011年
2011年は自分にとって4年ぶりのゲームマーケットでした。
結婚、出産などのライフイベントがあり、久々のゲムマ参加でした。

2011年春に『トンネルズ&トリックス』を販売したので、2011年秋は『コリントコンストラクション』の試遊だけにしようと決めました。
無理なペースでゲームを作り、ディベロップ不足になることを恐れてのことでした。

『トンネルズ&トリックス』でお世話になった長谷川登鯉さんに試作した『コリントコンストラクション』をお見せしたところ、たいへん気に入ってくださり、ゲームマーケット2011秋に向けてカードのアートワークを担当していただきました。

そうして作ったゲームをゲームマーケット 2011秋で参考出品し、多くの方々に遊んでもらいました。
とくに小学生のお子さんたちに人気で、大きな手応えを感じました。
しかし、ボールを弾く方法は輪ゴム、磁石と棒を接着する方法はセロテープ、穴と穴の間はバラバラでうまくはまらない箇所があるなど商品としてお金をいただくには程遠いクオリティでした。

自作するのは無理があると悟った私はゲームを作ってくれそうな木工所さんを密かに探し続けました。
2016年
2011年から5年経過した2016年、私はボ育て本の執筆に参加しました。

その間も『コリントコンストラクション』のことは忘れず、これと思った木工所さんにメールしたり、自作するのは諦めて、ハバやセレクタにアクセスして門前払いを食らったりといろいろと活動をしてきました。

そんな折、ボ育て執筆陣の中のナスケンさんに出会います。
ナスケンさんは北海道下川町に住み、『モモンガジャンプ』という北海道の丸太を大胆に使ったゲームなどを作られていました。

ナスケンさんがたまたま東京に仕事で来られた時、私は『コリントコンストラクション』を持って会いに行きました。

するとナスケンさん曰く、下川町には木材を加工する工房があり、コリントコンストラクションも作れるかもしれないというのです。
私はそれを聞き、本格的に『コリントコンストラクション』を量産しようと心に決めました。

ただ、いきなり部材の多い『コリントコンストラクション』を作るのは不安があったので、まずはレンガ積み木を使ったゲームを作ろうということになりました。
レンガ積み木を使ったゲームは試作までは行いましたが、印刷代の高さなどがネックになり、製作は棚上げとなりました。
再設計
そして2018年の夏ごろから『コリントコンストラクション』の再設計に取り掛かりました。
取り掛かるきっかけはうちの奥さんたちの語学留学でした。

うちの奥さんも子どもたちもいなくなる=自由が手に入る と直感した私は、うちの奥さんたちが語学留学に行く9月にやりたいことをリストアップしました。
そのリストのトップが『コリントコンストラクション』の再設計でした。

再設計にあたり、心がけたことが2点ありました。
それは軽量化とボール発射機構の改善です。
2011年版のゲームボードは重さが3kgちかくあり持ち運びに不便でした。

そこでホームセンターをうろうろ歩き回って材料を吟味し、最終的にはMDFを使って軽量化を実現し、同時にコストダウンも図ることができました。

また、2011年版の発射機構は輪ゴム式で耐久性のないものでした。

インターネットで様々なスマートボールやコリントボールを検索し、押しバネを使った機構を設計しました。ただ、適切な弾き心地を探るため、いろいろな太さ長さの押しバネを取り寄せ、絶妙な弾き心地を模索しました。

2018年9月にようやく試作品が出来上がり、下川町の工房に具体的な依頼を出し始めました。
最初は要望がうまく伝わらず、想定と異なるテストショットが上がってきましたが、LINEでの話し合いを重ね、設計図を引き、何度もテストショットを重ねることで納得のいくテストショットが出来上がりました。
今回の『コリントコンストラクション』には下川町の工房の技術が詰め込まれています。

穴は均等の間隔になるようNC加工していますし、小さなお子さんが扱っても壊れにくいように、細いプレートにギリギリの穴をあけてからそこに脚をはめ込み接着しています。

小さい部品があるので小さなお子さんと遊ぶときには誤飲の注意が必要ですが、4歳以上のお子さんであればおもちゃとして遊ぶことも可能です。
棚ダボ
こうして完成が近づいたコリントコンストラクションでしたが、磁石とピンの接着方法に最後まで悩んでいました。
両面テープで貼ってもとれやすいし、金属製の塗料を塗っても磁石とのくっつきが悪い。

いっそのこと製品版からは磁石を外そうかとも考えてたある日、藁にもすがる思いでうちの奥さんに相談しました。
すると「棚ダボは?」と回答が。

棚ダボとは本棚などの棚板をささえるピンのようなものです。
うちの奥さんに聞くと「家中に転がってる(コリントコンストラクションの)ピンは棚ダボだと思ってた」とのこと。

早速金属製の棚ダボを取り寄せ、磁石をつけ、ゲームボードに取り付けると、それはもう当たり前のようにしっくりくるではありませんか!

これですべてのパーツがそろい、量産化に向けてゴーサインを出せるようになりました。

ゲームとしてだけでなく、自分の好きな台を作って遊ぶなど、いろいろな楽しみ方ができるコリントコンストラクションをぜひ一度遊んでみてください。

どうぶつめくり

ゲーム概要

カードをめくって、どうぶつを集めるゲームです。
今までめくったどうぶつと同じどうぶつをめくらなければ、次のカードもめくるチャンスが出てきますが、おなじどうぶつをめくったり、《うんち》カードをめくったら手番が次のプレイヤーに移るシンプルなバーストゲームです。
メモリーゲーム(神経衰弱)としても遊べます

ゲーム情報

  • プレイ人数:2~5人
  • プレイ時間:10分
  • 対象年齢:4歳以上

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • アートディレクション:Spinof Design
  • ボックスデザイン:ケイデザイン室
  • イラストレーション:Jyobijody
  • 写真:masaki
  • 発表:2011年6月(ゲームマーケット2011春)

ルール

1.じゅんび

(1) 全てのカードをよく混ぜて、裏向きにした山札を1つ作る。
(2) 年齢の若い者がスタートプレイヤーとなる。

2.ゲームのすすめ方

(1) 手番プレイヤーは山札から1枚表にして場に出す。
(2) (1)で山札からひいたカードと同じ動物のカードが場にない場合、


① 続けて山札からカードをめくることを選択するのであれば(1)に戻る。

② 場に出ているカードを回収することを選択するのであれば、場に表になっているカードを全て自分の手元に裏向きにして置く。
手番プレイヤーを左隣のプレイヤーに移す。(1)に戻る。


(3) (1)で山札からひいたカードと同じ動物のカードが場にある場合、それまでにめくったカードを手番プレイヤーの左となりのプレイヤーから順番に1枚ずつ配る。

全て配り終えたら、左となりのプレイヤーに手番を移す。(1)に戻る。


(4) 《うんち》カードを引いた場合、ひいた《うんち》カードを捨て札とし、それまでにめくったカードを手番プレイヤーの左となりのプレイヤーから順番に1枚ずつ配る。
全て配り終えたら、左となりのプレイヤーに手番を移す。(1)に戻る。

3.ゲームのおわり

(1) 自分の手番で山札が引けなくなったら、その時点でゲーム終了。
(2) 最も多くのカードを持っているプレイヤーが勝ち。
もっているカードが同数の場合、持っているカードを使ってじゃんけんをする。


① 手札から同時に1枚カードを出す。

② あいこ、負けたプレイヤーは、出したカードを捨て札にする。
勝ったプレイヤーは、出したカードを自分の手札に戻す。

③ 最後までカードを手札に残したプレイヤーが勝ち。
同時にカードをなくした場合は引き分けとする。

ワンポイントアドバイス

動物の写真の下にグー・チョキ・パーが描かれています。
それぞれグーは同じ動物カードが2枚であることをあらわしています。


チョキは4枚、パーは6枚です。
パーの動物をめくったら、要注意です。

Tunnels&Tricks

ストーリー

おれら戦士はゴブリンどもが巣食うダンジョンに行き、ゴブリンやトロールをなぎたおす。トロールはかなりやっかいだが、ゴブリンどもをたおすのは簡単だ。
片っぱしから片付けていけばいいのだから・・・。
さらに難しいのはその後だ。金をどのように分配するか。それが問題だ。

ゲーム概要

このゲームは、マストフォローのトリックテイキングでセットコレクションをするゲームです。
各プレイヤーがカードを1枚ずつ出して、カードの強い順に出したカードを獲得していき、ゲーム終了時に獲得したカードでできた「役」の点数を数えるゲームです。

ゲーム情報

  • プレイ人数:2~6人
  • プレイ時間:30分
  • 対象年齢 :10歳以上

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • アートワーク:長谷川登鯉
  • 発表:2011年6月(ゲームマーケット2011春)

他サイトの情報

デザイナーズノート

プライベートの環境が大きく変わってからのゲーム制作は大変なものでした。

『Tunnels&Tricks』のきっかけ

『Tunnels&Tricks』は「花札でトリックテイクをやったらどうなるのだろう」という思いつきが原点です。

花札は12スート(1月~12月)で、1スートにつき4枚ととらえることができますが、それではゲームにしづらいので4スートで、1スートにつき12枚ととらえればトリックテイクになるだろうと思いました。

で、世の中にトリックテイクとセットコレクションをあわせたゲームが存在するかリサーチしたところ、手札で役を作るトリックテイクはあるものの、獲得したカードで役を作るゲームを見つけることができなかったので、開発を進めることにしました。
2010年12月のことでした。

僕のゲームの作り方は1つのアイデアやテーマを元に頭の中で妄想を膨らませ、ゲームとして成立しそうであれば、まずはコンポーネントを作ってテストプレイを行うというものです。

ぶっちゃけ「ワンアイデア勝負」です。

花札からの脱却

花札なので、役は既に決まっています。「四光」「猪鹿蝶」などは分かりやすいのですが、「月見で一杯」など細かいルールの役はどうしようかと悩んでいました。

また、花札には数字がなく、強弱を判断するのが難しいです。

花札を使うことの制約が大きくなってきたので、ここで思い切って花札を捨て、オリジナルカードでルールを整理しました。

私がゲームを作る上で心がけていることの一つが、プレイアビリティの追求です。とにかくシンプルさを心がけています。

また、ルールがある程度固まったらルールをテキストで起こすことも心がけています。

そうすることで、客観的にルールを見直すことができますし、他人に見せてアドバイスをもらうことも容易にできます。

他人の意見を素直に聞く

最初に作ったルールは、そのトリックで1番強いカードを出したプレヤーから順に1枚ずつ場に出ているカードを取っていくというものでした。

作ったルールをデザイナー仲間に見せたところ、「複数枚とれた方がおもしろいんじゃない?」という意見をもらい、1位は好きな1枚、2位は残った中から2枚・・・という独創的なルールが産まれました。

ゲームデザインに必要なのは、芯の通った自分の意志と、良いと思ったアドバイスを素直に受け入れるバランス感覚ではないかと思っています。

テストプレイの繰り返し

コンポーネントを作って1人テストプレイを繰り返し、できたルールを『王様トリック』という名前でブログに掲載しました。

2011年最初のブログ更新が新作ゲームのルールというくらい、冬休みはずっとこのゲームのことを考えていました。

1人テストプレイを繰り返し、自分なりに満足がいくものができたら、今度は対人でテストプレイを繰り返していきます。

私には小さい子どもがいるので、なかなかゲーム会に行くことができません。
そのため、カードゲームを知人に送り、テストプレイをしてもらうという形式をとりました。

その結果、様々なご意見をいただきくことができました。
テストプレイにおつきあいいただいた方に、この場を借りて、お礼申し上げます。

妻へのプレゼンテーション

テストプレイの反応が結構良かったので、ゲームマーケット向けに製品版を作ることにしました。

印刷代で何十万円もかかるものですから、自分の一存では決めることができません。
収支計画を立て、財布を握っている妻にプレゼンをすることにしました。

100部以上作るのであればイベント後の販路を確立していなければ在庫を売り切ることが難しいことを、過去のゲームマーケットで知っていました。

そこで、販路を確保するためにアークライトさんに相談して、あらかじめ掛け率をネゴし、萬印堂さんに見積もり依頼を出して、少しでも安くなる相談をしました。

(今回は『どうぶつめくり』というゲームを同時に作ることでコストダウンを図りました)。

妻へのプレゼンの結果、「ゲーム作りが趣味なんだから赤字にならなければいいんじゃない」という優しい言葉をもらい、商品版作成にGOが出ました。

奇跡的な出会い

次はイラストレイター探しです。

mixiのコミュニティにイラストレイター募集のトピックをたてたところ、数名の方からアクセスいただきました。
それが長谷川さんとの出会いです。

長谷川さんにコンタクトをとってみると、なんとうちから歩いて5分のところにお住まいであることが分かりました。

「長谷川さんのご自宅って、うちの子どもが通っている保育園の裏なんですけど!!!」と興奮したのを覚えています。

長谷川さんとあーでもない、こーでもない。あーしてほしい、これは譲れない。
といった意見交換をして、『Tunnels&Tricks』の世界観が生み出されました。

僕からの要求は「TRPGの『T&T』へのオマージュとしてトロールとショゴスは出してほしい」ということでした。

長谷川さんの想像力と画力にホント感謝しております。

ようやく完成

こうして入校が終わり、萬印堂さんから完成品が届けられたのがゲームマーケットの3日前。
2011年6月9日のことでした。そして6月12日にゲームマーケットで販売。
7月中旬に全国販売となりました。

アドバイスを下さった方、テストプレイにお付き合いいただいた方、英語訳を作ってくださったろーさん、イラストを描いてくださった長谷川さん、タイトなスケジュールをこなしていただいた作道さん、このゲームを買ってくださったユーザの方、貴重な時間を割いて遊んでくださったプレイヤーの皆さん。本当にありがとうございました。

毎度毎度ゲームを作るたびに思うのですが、多くの人に支えられているんだなぁということをひしひしと実感しました。

今後も『Tunnels&Tricks』をよろしくお願いします。