朝まで大統領選挙

ゲーム概要

『朝まで総選挙』の続編です。
2人1組となって赤と青の陣営に別れ、大統領選を戦っていきます。

ゲーム情報

  • プレイ人数:4人
  • プレイ時間:
  • 対象年齢:

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • アートワーク:佐藤朗
  • 発表年:2006年3月(ゲームマーケット2006)

デザイナーズノート

このゲームが産声を上げたのは2005年9月の上旬のことでした。

ゲームの産声

おかげさまで『朝まで総選挙』は好評をいただいたので、これのブラッシュアップ版を作ろうと思っていました。

「北海道」などの地名を英語にして、グローバル化を図ろうと考えていたときに、「やるならアメリカを舞台にしてグローバル化すれば良いじゃん」という安易な発想で、『朝まで大統領選挙』は産まれました。

会社に行く途中に長いトンネルがあり、その中を歩いている途中でひらめきました。
歩きながらモノを考えるというのはとても良いことです。

アメリカの大統領選挙はTVで見たことがありますが、システムが良くわかっていませんでした。
そこでネット等で調べて浮かび上がってきたのが

① 2大政党であること(それくらい知ってましたが)、
② 予備選挙と本選挙があること、
③ 選挙人が間接的に投票すること、
④ 勝者独占方式であること、などでした。

こうした要素をゲームらしく、デフォルメしてルール化しました。

基本的なシステムは朝まで総選挙を踏襲することに決めていましたが、ルール化よりも前にゲームボードを埋め尽くす赤と青のコマが一瞬にして頭の中に浮かびました。

このイメージができれば、ゲームはできたようなものです。

まず最初に取り掛かったのが、選挙人の数を調べることでした。
2004年の選挙人の数を調べ、それを各州にプロットしていきました。

そしてその後悩んだのが、アメリカをどう分割するかということです。
日本なら適切な分割方法がすぐにわかったのですが、アメリカはよくわかりません。

そこでアメリカで暮らした経験のあるpuppiさんに相談したところ、「本土には4つのタイムゾーン(標準時帯)がある」ということを教わりました。

それをさらに南北に分け、僕が目指すゲームに適した8つの地域を作りました。
アメリカの人口の格差にびっくりしました。

ちなみにニューヨークはゲームにならないほどの人口を抱えています。
(ゲームではバランスをとるために人口比率を変えています)

準備期間

初めてのテストプレイは中学からの友人宅で行いました。
2005年9月25日のことでした。

普段はゲームをしない友人ですが、その友人が楽しそうに遊んでくれました。

この友人には『朝まで総選挙』も遊んでもらっており、「あれより面白い」という感想を聞けたので、かなり自信をもってブラッシュアップに努めることができました。

その後、藤沢ボードゲーム塾、puppiさん宅ゲーム会、テーブルゲームフェスティバル、袋小路、かわぼげなどでテストプレイを重ねていきました。

ご協力をいただいた皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。

特にマスのバランスについてアドバイスを下さったpuppiさんや、カードドラフトのアイデアを下さった猪月さんには重ねてお礼を申し上げます。

今回はゲームシステムは前作の踏襲ですので、ゲームシステム以外の部分でお客様への満足度を上げたいと考えておりました。
そのひとつが木のコマの採用です。

木のコマはspiel materialというドイツのメーカから取り寄せました。

メールで注文したところ、「お前は日本人として2人目の顧客だ」って驚かれました。
ちなみに1人目はmoonさんです。

その後メールのやり取りを何度か行い、手元に届いたのが2月の初旬でした。
メールだけのやり取りでしたので、手元に届くまでドキドキでした。

『朝まで総選挙』ではプラスチックのコマを使っていたのですが、プラスチックのコマと比べて3倍以上のコストがかかります。

木のコマが48個入って1500円というお買い得感をご提供できれば幸いです。

プロの仕事

ボードゲームに重要な要素は数多くありますが、どうしてもはずせない要素がボード/カードデザインです。

どんなに素晴らしいシステムでもボードデザインがいい加減だとプレイアビリティを下げますし、ボードデザインが素人っぽいとなんか物足りなさが出てきます。

今回の「朝まで大統領選挙」のボード/カードデザインは友人のpuppiさんにお願いしました。
「片手間でいいですよ」とお願いしたのですが、あがってきたデザインを見てびっくりしました。

やはりプロの仕事は違います。 puppiさんにはこの場を借りてお礼を申し上げます。

シルバーコインズ

ゲーム概要

16世紀イタリア、宗教革命の風が吹き荒れる時代を舞台にしています。

が、コンポーネントは「カード14枚」と「8枚のコイン」「七芒星」だけという、非常に簡単かつ抽象的なものになっています。

システムは「3手先にプロットしたカードを自分の手番に使う」という悩ましいものになっています。でも、15分くらいで収束するので、是非遊んでみてください。

ゲーム情報

  • プレイ人数:2人
  • プレイ時間:15分
  • 対象年齢:10歳以上

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • イラスト:上杉真也
  • 発表年:2005年12月(コミックマーケット69)

ルール

シルバーコインズ 日本語ルールブック

コンポーネント

トランプ等でカードを用意いただき、2色のコイン3枚ずつを用意していただければ遊べます。
シルバーコインズ ゲームボード

テケリ・リ

ゲーム概要

クトゥルフ神話をベースにしたトリックテイキングゲームです。おぞましい”異形の神々”のカードを取らないようにゲームを進めていきます。

最大の特徴はキャンセレーションシステムで、数字の大きいカードが必ずしもトリックを取るとは限りません。

このシステムによりプレイヤーを狙い撃ちで落とし込んだり、救済したりするなどのプレイが楽しめます。

ゲーム情報

  • プレイ人数:2~6人
  • プレイ時間:30分
  • 対象年齢:10歳以上

クレジット

  • ゲームデザイン:佐藤敏樹
  • イラスト:アサダレイナ
  • パッケージデザイン:佐藤朗
  • 発表年:同人版 2005年/ヤポン版 2006年

他サイトの情報

デザイナーズノート

このゲームはヤポンブランドとしてエッセンでも発売した思入れ深いゲームです。

きっかけ(2003年3月初旬)

友人と「ゴーストハンターボードゲーム」を遊び、このゲームからクトゥルフとトリックティキングゲームの融合を思いつきました。

そして「テケリ・リ」のプロトタイプ作成を開始しました。
このときに目指したゲームコンセプトは以下のとおりです。

① キャンセルの要素を入れる

グループSNEの安田均氏が「大勢集まったらキャンセレーションブラックレディが面白い」と何かの本の中でおっしゃており10人くらい集まったときにブラックレディキャンセレーションを遊んでみました。

「頼む、誰か助けて~」とか「キャンセルしてくれてありがとう~」などとゲーム中の会話が盛り上がり、非常に面白かったです。

しかし、このゲームはトランプを2箱使うゲームなので10人近くいないとできませんし、小さい数でキャンセルを起こしてもあまり面白くありません。

ということで、プレイ人数が少なくてもキャンセルが楽しめるゲームを作ろうと考えました。

② スコアリングシステムを簡単にする(鉛筆を使わない)

トリックティキングゲームは好きなのですが、得点を計算するために鉛筆とメモが必要なのが面倒で嫌でした。

そこで100点ごとにマーカーを獲得するメカニズムを採用しました。

「端数切り捨て」は「時間の経過により狂気が冷める」と理由をこじつけました。

③ 派手にする

「銀のタロット」の「ひいてはいけないカード」が好きでした。

このカードを引いた時は、とにかくマイナス点の要素が多く、混沌とした中でゲームが進みます。

ただ、問題なのは点数計算が面倒くさいことでした。

点数計算を簡潔にし、さらに混沌としたゲームとするため、異形のモノたちを8体も登場させることにしました。

テストプレイ(2003年4~11月)

この頃よく遊んでいた鷹村ナクトさんでの自宅ゲーム会や友人とのゲーム会でテストプレイを重ねました。

このテストプレイでカード構成や、キャンセル時の押し出しのルール、イベントカードの決定などを行いました。
おもちゃ箱のメンバに感謝です。

お蔵入り(2003年~2004年)

このゲームを何らかの形で公開したかったのですが、クトゥルフをテーマにしているため、イラストがないと面白さが半減します。

また、クトゥルフ以外のテーマでこのゲームを作り直すことは私の中では考えられませんでした。

そのため、「テケリ・リ」は1年以上お蔵入りとなってしまいました。

再始動(2005年5月初旬)

ゲームマーケットで販売した「エルスミーア」などのイラストレイターさんと知り合いになり、アサダレイナさんにイラストを描いてもらえることとなりました。

最初はA4から16枚のカードを切り出し、インクジェットプリンタで印刷することを考えていましたが、せっかくきれいなイラストを描いていただけることになったので、絵を大きくし、オフセット印刷を行うことにしました。

イラストレイターさんに気持ちよく仕事していただくために、「自由にやってください」とカード全体のデザイン、裏面のデザインもトータルでお願いしました。

(裏面はショゴスの生みの親である「古のもの」を意識して星がかたどられています。
アサダさんのアイデアです。

ちなみにテケリ・リはショゴスの鳴き声です)。

最終調整(2005年5月下旬)

イラストを発注した後だったのですが、もう一度イベントカードの内容を見直し、効果を変更しました。

以前は「日記帳」というカードがあったのですが、「ネクロノミコン(魔道書)」のカードにしました。

理由はイラストの変更がほとんどいらないからです。
このころは「何か良いイベントはないかなぁ」とずっと考えていました。

印刷所探し(2005年6月初旬)

色々な印刷所をwebで探しました。
『オーバルトリック』などのゲームを販売している「グラパックジャパン」さんの本業が印刷屋さんであることを思い出し、見積もりをもらいました。

が、小ロットでは全然値段が折り合いませんでした。
結局は遊兎理さんに教えていただいたポプルスさんに決めました。

ポプルスさんからの見積もり(2005年6月中旬)

ポプルスさんから見積もりを取りました。
お気楽カードセット、54×86mmのテレカサイズ2パターン、角丸ヌキ加工つきです。

表面加工は特にしていません。
角丸加工代が印刷代の約3分の1を占めます。

かなり、迷いましたが「カードの角が痛いからあのゲームは遊ばない」と言われるのがイヤだったので、角丸加工はしてもらいました。

100部単位での注文というのが、かなりの決断力を要求されます。

印刷所との打ち合わせ(2005年6月25日)

立川にてポプルスさんと打ち合わせです。
カードの厚さや質などを確かめたかったので、直接営業所の方へ行きました。

細かい修正点を指摘してもらったり、リンク割引(ホームページにリンクを張るとちょっと安くしてもらえる)の話などを伺うことができました。

入稿(2005年7月5日)

アサダさんから原稿があがり、FTPで入稿しました。

色校(2005年7月15日)

色校がポプルスさんからあがり、その結果をポプルスさんに連絡しました。

カードの薄さが気になったので相談したところ、追加料金を払って紙変更をしてもらうことにしました。

アート160K→アート240Kへ変更しました。

印刷完了(2005年7月24日)

印刷が完了し、すべてのカードが送られてきました。

袋詰めはすべて手作業です。
家族総出で袋詰め作業を行いました。

コミケ当日(2005年8月12日)

テーマがクトゥルフということもあり、多くの人に興味をもっていただけたようで、「このゲームはどういうルールなんですか?」と何度も声をかけていただきました。

お客様との会話はとても楽しいものでした。
コミケでご購入いただいた皆様ありがとうございました。
この場を借りてお礼申し上げます。

ヤポンブランドのお誘い(2006年4月)

たけるべさんから『テケリ・リ』を海外に持って行きませんか?
と誘われ、発足したばかりのヤポンブランドに参加することにしました。

萬印堂さんとのおつきあい(2006年5月)

同人版の『テケリ・リ』はポプルスで印刷したものでしたが、商用版を作るにあたり、箱に入れてシュリンクをかけないといけません。

ポプルスに見積もってもらったところ、200部で約37万5000円という値段を提示されました。

とても高かったので、他の印刷所を探していたところ、ヤポンブランドのみなさんから萬印堂さんを紹介していただき、萬印堂さんに印刷をお願いすることにしました。

萬印堂さんのいいところは、ゲーマーならではの心配りです。

カードの厚さや、透け具合、カードのこしなど細かいところまで目が行き届いている点です。

こうした気配りの結果が現在の業界リーダーたるゆえんだと思います。

Sato Bros.の誕生(2006年8月)

ボックスアートはカードイラストを描いていただいたアサダレイナさんに再びお願いし、装丁は友人の佐藤朗さんにお願いしました。

『テケリ・リ』の海外挑戦は個人的な活動だったので、「ボードゲームのおもちゃ箱」というサークル名は使わず、佐藤朗さんと佐藤敏樹のコンビということで、「Sato Bros.」というサークル名にしました。

エッセン(2006年10月)

たくさんの方々に支えられ、『テケリ・リ』をエッセンに持って行くことが出来ました。

今後も機会があれば是非海外に挑戦していきたいと思います。