Tunnels&Tricks

ストーリー
おれら戦士はゴブリンどもが巣食うダンジョンに行き、ゴブリンやトロールをなぎたおす。トロールはかなりやっかいだが、ゴブリンどもをたおすのは簡単だ。
片っぱしから片付けていけばいいのだから・・・。
さらに難しいのはその後だ。金をどのように分配するか。それが問題だ。
ゲーム概要
このゲームは、マストフォローのトリックテイキングでセットコレクションをするゲームです。
各プレイヤーがカードを1枚ずつ出して、カードの強い順に出したカードを獲得していき、ゲーム終了時に獲得したカードでできた「役」の点数を数えるゲームです。
ゲーム情報
- プレイ人数:2~6人
- プレイ時間:30分
- 対象年齢 :10歳以上
クレジット
- ゲームデザイン:佐藤敏樹
- アートワーク:長谷川登鯉
- 発表:2011年6月(ゲームマーケット2011春)
他サイトの情報
- Board Game Geek https://boardgamegeek.com/boardgame/102669/tunnels…
- ボドゲーマ https://bodoge.hoobby.net/games/tunnels-and-tricks
デザイナーズノート
プライベートの環境が大きく変わってからのゲーム制作は大変なものでした。
『Tunnels&Tricks』のきっかけ
『Tunnels&Tricks』は「花札でトリックテイクをやったらどうなるのだろう」という思いつきが原点です。
花札は12スート(1月~12月)で、1スートにつき4枚ととらえることができますが、それではゲームにしづらいので4スートで、1スートにつき12枚ととらえればトリックテイクになるだろうと思いました。
で、世の中にトリックテイクとセットコレクションをあわせたゲームが存在するかリサーチしたところ、手札で役を作るトリックテイクはあるものの、獲得したカードで役を作るゲームを見つけることができなかったので、開発を進めることにしました。
2010年12月のことでした。
僕のゲームの作り方は1つのアイデアやテーマを元に頭の中で妄想を膨らませ、ゲームとして成立しそうであれば、まずはコンポーネントを作ってテストプレイを行うというものです。
ぶっちゃけ「ワンアイデア勝負」です。
花札からの脱却
花札なので、役は既に決まっています。「四光」「猪鹿蝶」などは分かりやすいのですが、「月見で一杯」など細かいルールの役はどうしようかと悩んでいました。
また、花札には数字がなく、強弱を判断するのが難しいです。
花札を使うことの制約が大きくなってきたので、ここで思い切って花札を捨て、オリジナルカードでルールを整理しました。
私がゲームを作る上で心がけていることの一つが、プレイアビリティの追求です。とにかくシンプルさを心がけています。
また、ルールがある程度固まったらルールをテキストで起こすことも心がけています。
そうすることで、客観的にルールを見直すことができますし、他人に見せてアドバイスをもらうことも容易にできます。
他人の意見を素直に聞く
最初に作ったルールは、そのトリックで1番強いカードを出したプレヤーから順に1枚ずつ場に出ているカードを取っていくというものでした。
作ったルールをデザイナー仲間に見せたところ、「複数枚とれた方がおもしろいんじゃない?」という意見をもらい、1位は好きな1枚、2位は残った中から2枚・・・という独創的なルールが産まれました。
ゲームデザインに必要なのは、芯の通った自分の意志と、良いと思ったアドバイスを素直に受け入れるバランス感覚ではないかと思っています。
テストプレイの繰り返し
コンポーネントを作って1人テストプレイを繰り返し、できたルールを『王様トリック』という名前でブログに掲載しました。
2011年最初のブログ更新が新作ゲームのルールというくらい、冬休みはずっとこのゲームのことを考えていました。
1人テストプレイを繰り返し、自分なりに満足がいくものができたら、今度は対人でテストプレイを繰り返していきます。
私には小さい子どもがいるので、なかなかゲーム会に行くことができません。
そのため、カードゲームを知人に送り、テストプレイをしてもらうという形式をとりました。
その結果、様々なご意見をいただきくことができました。
テストプレイにおつきあいいただいた方に、この場を借りて、お礼申し上げます。
妻へのプレゼンテーション
テストプレイの反応が結構良かったので、ゲームマーケット向けに製品版を作ることにしました。
印刷代で何十万円もかかるものですから、自分の一存では決めることができません。
収支計画を立て、財布を握っている妻にプレゼンをすることにしました。
100部以上作るのであればイベント後の販路を確立していなければ在庫を売り切ることが難しいことを、過去のゲームマーケットで知っていました。
そこで、販路を確保するためにアークライトさんに相談して、あらかじめ掛け率をネゴし、萬印堂さんに見積もり依頼を出して、少しでも安くなる相談をしました。
(今回は『どうぶつめくり』というゲームを同時に作ることでコストダウンを図りました)。
妻へのプレゼンの結果、「ゲーム作りが趣味なんだから赤字にならなければいいんじゃない」という優しい言葉をもらい、商品版作成にGOが出ました。
奇跡的な出会い
次はイラストレイター探しです。
mixiのコミュニティにイラストレイター募集のトピックをたてたところ、数名の方からアクセスいただきました。
それが長谷川さんとの出会いです。
長谷川さんにコンタクトをとってみると、なんとうちから歩いて5分のところにお住まいであることが分かりました。
「長谷川さんのご自宅って、うちの子どもが通っている保育園の裏なんですけど!!!」と興奮したのを覚えています。
長谷川さんとあーでもない、こーでもない。あーしてほしい、これは譲れない。
といった意見交換をして、『Tunnels&Tricks』の世界観が生み出されました。
僕からの要求は「TRPGの『T&T』へのオマージュとしてトロールとショゴスは出してほしい」ということでした。
長谷川さんの想像力と画力にホント感謝しております。
ようやく完成
こうして入校が終わり、萬印堂さんから完成品が届けられたのがゲームマーケットの3日前。
2011年6月9日のことでした。そして6月12日にゲームマーケットで販売。
7月中旬に全国販売となりました。
アドバイスを下さった方、テストプレイにお付き合いいただいた方、英語訳を作ってくださったろーさん、イラストを描いてくださった長谷川さん、タイトなスケジュールをこなしていただいた作道さん、このゲームを買ってくださったユーザの方、貴重な時間を割いて遊んでくださったプレイヤーの皆さん。本当にありがとうございました。
毎度毎度ゲームを作るたびに思うのですが、多くの人に支えられているんだなぁということをひしひしと実感しました。
今後も『Tunnels&Tricks』をよろしくお願いします。